仕事

SESという業種について

はじめに

システムエンジニアサービス(以下SES)はどんなものなのか、自身が働いてきて思ってきた事を記載する。

本記事は当時の不満と、今後もしまた転職することになったとしても二度とSESに就職するなよと自身に念を押すことが目的である

SESとは

客先へ常駐して運用・保守・開発等を受け持つ委託契約の一種。言うなればエンジニアという肩書を使った人材アウトソーシング事業である。
自社は保守・運用がメインなので、開発系についてはここから後述する内容とは相違するだろうが、大きな違いはそれほどないのかも知れない。

この記事を書いている現在において、ITベンダーの大半はこのSESで稼いでいるし、人手不足で断ってる位だと言われているので、会社は弾数(社員)の数だけ稼げるので食い扶持には困らないだろう
特色としては求人が「職歴不問」「資格無しOK」「パソコンスキル不要」「未経験歓迎」といったド初心者大歓迎
実際、自身も未経験で入った口ではあるがPCについてはそこそこスキルは持ち合わせていた。
パッと見は緩い仕事なのだろう、簡単そう、なんてイメージはつくが、現場によっては予想通りの場所もある。
そんな所はまず長続きしないし、次の現場も同じとは限らず、逆にギャップでしんどい思いをすると思う。
苦労は買ってでもしろ、とは昔の人の言葉を肯定する気はないが、簡単すぎる現場というのはこれはこれできつい

自社への不満

当然、自身は商品なわけでお客様先に行って常駐しなければならない。
自社も私自身にただ飯を食わせる訳にはいかないのでそこは理解できる。
でも、現場は選ばせてくれない。

現場を選ばせようとするポーズ

現場都合や会社側の都合等で自社待機する期間がある。その間は全く仕事が無ければ勉強することもあればその日だけのスポット要員で現場に向かう場合があるが、次に常駐する現場カードをいくつか提示してくれる。ポーズだが

上司
上司
次の現場どれ行きたい?[A][B][C]
JUNTATA
JUNTATA
ここ[A]行きたい
上司
上司
ここ[A]は一人常駐だからダメってことで断る予定なんだ
JUNTATA
JUNTATA
じゃあ、ここ[B]
上司
上司
ここ[B]は利率が低くて断ろうと思ってるんだ
上司
上司
だから君は次行くのはここ[C]だね
JUNTATA
JUNTATA
・・・
(どこのドラクエの選択ループだよ)

現場を選ばせてくれないことにより、後述のキャリアプランなんて無視されてしまう

人の苦労を知らない

一度片道2.5hの現場を提示されて、全力で拒否したことがある

JUNTATA
JUNTATA
往復5時間なんて短期間ならともかく、長期は無理です
上司
上司
でもこの現場は残業が無いからプライベート確保できるよ
JUNTATA
JUNTATA
5時間も拘束されて何が自由時間なんですか。兎に角無理です

後日

上司
上司
あの案件断ってやったから俺に感謝しろよ
JUNTATA
JUNTATA
はあ

後日別件での会話

上司
上司
●●案件の客先に挨拶行ってきてよ、その日は直帰でいいから
上司
上司
ええ、家から2時間掛かるから俺死んじゃいますよ
上司
上司
そうか、じゃあ仕方ないけど別の人を向かわせるよ
JUNTATA
JUNTATA
・・・
(こいつ、俺に通勤で毎日5時間費やさせようとしてたのに何を言っているんだ)

現場への連携不足

不足というよりするつもりが無いと思える。
現場に勤務していると、現場の社員より

社員さん
社員さん
JUNTATAさん、今月いっぱいなんですね、後任者は●日から来るんでしたっけ
JUNTATA
JUNTATA
え、全く知らないんですけど・・・確認します

空かさず上司に確認

上司
上司
昔やってた案件が復活して、有識者が君だけなんだよね、それが来月から予定してるんだ
JUNTATA
JUNTATA
来月からってもう中旬なのにそう言う重要なことってお客より先にこっちに確認しないんですか
上司
上司
したつもりだったけど言ってなかったっけ
JUNTATA
JUNTATA
あなたからメールはここ最近来てませんよ
上司
上司
あらら、でもお客さんには話しちゃってるから調整はよろしく

現場が変わるとなれば引継資料も用意しなければならないし、何より通勤経路が変わることへの準備と生活リズムの変更が一番つらい。
1度のみならず3度ほど同じことをやらされた。

自社メンバーの保守的な人間

現場の定型作業において、時代にそぐわないロートル作業を頑なに維持しようとするメンバーが一定数居る
理由としては次の主張が多い

同僚A
同僚A
このやり方しか知らない
同僚B
同僚B
新しい手法を覚えたくない

その癖、マクロなどを用いて作業短縮を図れば次のような発言のオンパレード

同僚C
同僚C
楽してズルい

このメンバーが同僚だったりすれば軽くあしらう程度なのだが、リーダーや上司がこのパターンだと負担でしかならない。
改善を訴えれば

上司
上司
改善の結果、余計な仕事を増やされたり人員削減されたらどうする
JUNTATA
JUNTATA
他ベンダーより自社が優れている事を訴えて、人員増やせばいいじゃないですか
上司
上司
それは営業の仕事であって現場の人間がする事ではない

この様に話にならない

結局、自身の独走になってしまうが作業改善の為にツールを作って、作業を早く終わらせるように専念した。
その結果、リソースに余裕が出来たので従来では月に数件のミスが0件になったし、残業と休日出勤が無くなり、お客様からは高評価を頂いた。
タスクの中で一番作業時間が多く掛かっていて、残業や休日出勤が発生していた作業だったのに、皮肉にも一番定時で上がれる作業になってしまった。

だが、これ以上この現場には居たくは無かったので現場を変えるように要請、要求が呑めない場合は退職も視野に入れると伝えて予定外のメンバーローテーションが行われ、自身は別の現場へと就くことになった。

数週間後

上司
上司
君が作ったツールを使いたい、使い方を教えて
JUNTATA
JUNTATA
すいません、チームで認められなかったツールを利用して問題になったら責任持てませんのでお断りします
上司
上司
君が抜けてから事故率が戻っちゃって困ってるんだよ
JUNTATA
JUNTATA
すいません、責任持てませんのでしっかり改善運動してください

これについては不満も合わせて会社に報告済みなので、何もお咎めは無く、全面的に自身の考えが正しいとされた

退職率と監視

退職者情報がこれまでメールでも周知されて過去の記録ずっと見れていたものが、いつからかメールでの周知は無くなり記録も3か月以上遡れなくなっていた。
個人情報保護の一環なのかもしれないが、退職者の多さを隠蔽するためじゃないのかと勘繰ってしまっていた。
2017年度は100人以上退職しているが新卒と中途採用は120人を超えていて規模としては大きくなっているようだった。
しかし2016年頃から管理職やエキスパートと呼ばれている上級職の人材流出が酷い。
お蔭で現場に残っているのは自身を含めて平凡か下級クラスばかりになってしまった。
自社もまずいと思ったのか、取った対策は実にあほらしい物だった。

会社
会社
「転職」等のキーワードで検索しているユーザが居たら監視せよ
会社
会社
2ch(5ch)に書き込んでる社員を特定せよ

それを月に1回管理職が集まって結果報告しているのだ。
会議内容も非公開で行えばいいものを、全公開でやっちゃってるもんだから、会議室の空き状況を調べたら否応なしで見れてしまう。ほんとにITで飯食ってる企業ですか

ダブルワーク

常駐先の業務だけではなく、自社の仕事もしなければならない
勿論残業なんてものは発生しない、活動報告や業務レポートを出しても何も反応はない、そのくせ出さないと「出せ」とだけ言ってくる。
だったら手前もなんかアクションして来いよ。独り相撲してる気分になってしまう

評価制度の不満

前述の業務改善に対してもそうだが、客先では非常に高い評価を頂いていた。
だが、それは自社の評価に殆どつながらないのだ。

社員さん
社員さん
JUNTATAさんが居てくれて助かるよ、色々改善もしてくれたし頼れるよ
JUNTATA
JUNTATA
ありがとうございます!
自社
自社
うちのJUNTATAがお役に立ててるみたいで良かったです、料金少し値上げしてもいいですか
社員さん
社員さん
凄く頑張ってくれてるから良いですよ
自社
自社
ありがとうございます!
自社
自社
お客さんから評価凄く良いから契約料金もあがった!
でも昇格・昇給無しな!
JUNTATA
JUNTATA
・・・

自社での評価基準というものは客先評価と自社評価の2つを合わせたものになる。
比率は3:7だったと思う。
100点満点だとして客先でどんなに高い評価をされても30点だ。
残りの70点は自社に対してどれだけ貢献したかがポイントになる。
どう言う物を貢献ポイントになるのか具体的に聞いてみたら次のものだった
・資格取得
・新人教育
・勉強会開催
・飲み会の幹事
これを年間通して4時間程度も顔合わせしない上司に評価される。

ただし、現場に評価する上司がいる場合はチーム貢献度というものにすり替わり、現場に10人いたら「70点1人」「50点2人」「30点3人」「10点4人」という決められた点数の椅子取りゲームになる。

資格取得

資格に至っては希望も通らないし現場にそぐわない資格を取らせる。
現場はWindowsなのに「LPICを取れ」だの、Oracleを取りたいと言えば「DBは需要が無い」と却下される
ビッグデータやSalesforceが話題になると「DBの資格取れ」と騒ぐ

ITILは必須、CCNAとLPICとMCSEは会社命令で取らされる。
おかげで上司からネチネチと言われる。そりゃ上司自身の評価につながるから仕方ないか。
自社には全従業員の資格取得状況を見るシステムがあるのだが、その肝心の上司でさえITILしか持っていないことが多い。
手前が持っていないものを他人に取れと言われるのは結構ばかばかしくて苦痛だった。

仕事で携わっているシステムであれば資格勉強は十分取れるが、そうじゃない場合は業後や休日を使って勉強しろと言う。それならば平日の月一ぐらいの頻度で業務せずに自社で勉強会とでも設けて丸一日使った試験対策をやってくれればまだ変わっただろう。
勉強は好きか嫌いかと言われれば嫌いな部類だが、理解したりスキルが身につくのは楽しいことだと思っている。
それなのに自社は命令だけして結果を出せと言ってくる。

資格は現場に出ている人間はおよそ1割、自社勤務は5割ぐらいが取得できている。
そこで面白いのが現場に出ている人間より自社勤務している総務経理や、現場が決まっておらず自社待機している人間のほうが数千レベルではあるが給与額が高い場合が多い。
理由は前述の会社貢献度が高いからだろう。
これは聞いていて非常に面白くない。

新人教育

これは基本的に本社にいる新卒で入ってきた新人を教育する教育担当部署しか無い評価ポイント
未経験で1か月のOJTを終えて配属された中途採用者が現場に来て教育したところで評価ポイントにはならない

勉強会開催

これも基本的に教育担当か、ドデカいプロジェクトを完遂させた現場等が勉強と称したナレッジ共有を実施した場合である。
閲覧者は自社にいる管理職や本社待機している社員だったりする。
業後の18:30に本社に行けるメンバーがどんだけ居ると思ってんだ。

飲み会の幹事

最後はこれ。呑みにケーションというやつ
上司にお膳立てして気に入られれば更に評価付く

キャリアプラン

年次切り替えと同時に自身のキャリアプランを設定する
毎年3年後、5年後を書くあたりがあまり理解出来ないのは自身の問題なのだろうか・・・
特定の技術を磨きたいというプランを設けることは可能だが、現場はそんなプラン無視してくる

同僚
同僚
Linuxはもう十分触ったので、Windowsにも手を伸ばしてみたい

そこで会社が出す新しい現場は

会社
会社
OK、Linuxの現場を用意するね

これである
その方がお金になるから当然だ

良い現場もある

ダメな所だけじゃなく、凄く良い現場もあった。

広告会社
良くも悪くも日本人なら知らない人のほうが少ないほどの有名企業。噂ほどブラックさは感じなかったが、残業の多さは納得できる理由ばかりだった。企業というよりクライアントが悪だろう、と感じた。
お金はあるのでやたら好き勝手させてもらえた。失敗しても人が死ぬわけでもないしリカバーできれば良いから挑戦しなさい。その言葉の後押しもあって色々触ることもできた。
役員に気に入られて「うちの会社に来ないか」と声を掛けられたこともあった。
冗談だと思って流してしまったが、実は本気だったのかな。と悔やまれることがある

証券会社
チームも当たり外れはあるものの、当たりは凄く自分のモチベーションを上げてくれるし、仕事も苦痛ではなかった。積極的に現場の業務改善に取り組んで貢献も出来たと思っている。
今でもそのチームに戻れるのであれば戻りたいとさえ思っている。

勿論、感謝の気持ちはある

もちろん、手に職の無い自分に対し就職させてくれたという感謝の気持ちはある。
未経験でも入社出来ていろいろな経験を積むことができ、そこから現在の職に就くことができた。
だが、その気持ちもSESという業種を知れば知るほど搾取されているだけに感じてしまう。

SESについて

SESという業種は正直、現在の日本に蔓延る癌の一種なんじゃないかとさえ思う。
スキルが身につくかどうかは現場に左右される。
スキルが身についていなければ見合った現場しか用意されない。
もしくはキャパオーバーの現場に就かされて身体なり精神を壊すかもしれない。

SESはIT未経験者を経験者に育て上げる為の受け皿にも見えなくはないが、経験を積むには大間違いだと思う。
一度SESに足を踏み入れると、中々抜け出すのに時間を要してしまうのが大半だ。
経験を積みたいのであれば自社開発をメインとする企業に入ったほうが絶対に将来は開ける。
SESを抜け出そうと、転職エージェントを利用してもSESばかりの紹介を受けてしまう。
するとだんだん頭が疲れてきて次のような考えが浮かんでしまう。
今(のSES)より待遇良くなるなら、ここ(のSES)でもいいかな

中々挫折しそうになることもあるが、SES以外の業種を自身で検索して見極めてエントリーするしかない。
常駐先の社内SEでご活躍して頂きますとふざけた求人してる所は滅びろ

SESの苦労

SESでの働き方のスタイルは様々なメリット・デメリットがある

会社側や現場側の理由による現場変更

自身の意思とは無関係に現場を変更させられる場合がある。間隔は1ヵ月の時もあれば数年居続けるケースもある
メリットになることもあるが、大半はデメリット

システムの覚え直し

同じシステムを使っていても、現場独自の名前で呼称されていたりする
正式名称:●●システム

会社A
会社A
▲▲システム
会社B
会社B
■■システム

構成の覚え直し

ネットワークやシステムがどう連携しているのか、影響範囲を把握しなおす必要がある
経験が長いほど、過去の知識に依存してしまい悩むことが多い

人の覚え直し

現場が変われば所属も変わるので自社の上司も変わる事が多い、個人的にはこれが一番苦労した

自社

上司/チームメンバー
比較的顔を合わせるのでここはあまり苦労しないが、大所帯でエリアやフロアがバラバラだったりすると少し大変

お客様

担当者/エンドユーザー
滅多に顔を合わせない担当者となると、顔と名前を一致させるのに一苦労する
フリーアドレスなんかだと、その人を探すのにも苦労をする
社内システムに従業員検索リスト等で顔写真もあれば大変うれしい

生活スタイル

通勤時間や就業時間も変わるので、起床時間から就寝時間まで変更しなければならない
通勤も乗り換えが3回以上になって定期券も分けなければいけないこともなりうる

客先評価

前述したが、お客様にどんなに高評価されても、自社評価には影響されることは少なく、昇給等はあまり期待できない

スキル

自身が身に着けたいスキルとは異なる現場に就かされる
レガシー環境の現場に就かされて新しいスキルが身につかない
同じような現場ばかりでスキルが身につかない
営業は現場で必要としているスキルと、エンジニアの持つスキルを把握していないことも多く、開発系で特に酷いと聞く(インフラ系は大抵潰しが利く)

エンジニア
エンジニア
LAMP環境でWebアプリ開発できます
自社
自社
(この人は開発言語出来るのね)
お客様
お客様
C言語のエンジニアほしい
自社
自社
うちにぴったりなのいますよ!
お客様
お客様
それじゃあ、ぜひお願いしたい
自社
自社
そんな訳で、開発案件よろしくね
エンジニア
エンジニア
C言語はわかりません・・・

これからSEを目指してみたい人へ

下記は一個人の意見です。
「ITの世界に興味があり、極めたい」と思うのであればSESは避けましょう
「ITの世界はあまり興味ないけど、デスクワークが良い。就職・転職活動が面倒。将来結婚する気も無いしあまりストレスなく働きたい」という人はSESはあながち間違ってないかもしれません。

SESを避けるために

就職や転職でSESを避けたい場合は以下の特徴を最低限注視する

求人や会社の特徴
一般労働者派遣許可または労働者派遣事業許可を持っている
・勤務地にクライアント先プロジェクト先と記述
・採用人数が10名以上
・業務内容が●●(お客様や企業)先の社内SE
転職回数、ブランク不問

更新記録

2018/07/10 初稿
2018/07/11 文章修正
2018/07/12 [SESの苦労]を加筆